清弁著『般若灯論釈』

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Project Data

プロジェクトの背景

インドの仏教僧、清弁 (Bhāviveka, ca. 490/500−570 CE) によって著作された Prajñāpradīpa (PPr) は、龍樹 (Nāgārjuna, ca. 150−250 CE) の『根本中論』(Mūlamadhyamakakārikā: MMK) に対する注釈書の一つである。PPrのサンスクリット原本は現在まで確認されていないものの、チベット語訳 Śes rab sgron ma ཤེས་རབ་སྒྲོན་མ) と、漢訳『般若灯論釈』という二つの翻訳が存在する。このうちチベット語訳は、9世紀初頭に Klu’i rgyal mtshanとJñānagarbha によって、漢訳は630−632年にかけて、インド出身の波羅頗蜜多羅 (Prabhākaramitra: 565−633 CE) によって行われた。しかし、80年以上前に、日本の仏教学者である月輪賢隆氏によって、両訳の間には数多くの相違点が存在し、チベット語訳の方が優れていることが指摘されて以降、 PPr の研究は現在に至るまで専らチベット語訳に基づいて行われてきた。しかし、2006年、ハーバード大学の Kuijp 教授 (Prof. Lonard W. J. van der Kuijp) によって、漢訳の価値が見直されるべきという指摘がなされ、その後、オーストリア科学アカデミーの クラッサー博士 (Doz. Dr. Helmut Krasser) によって、両訳に見出される付論部分の考察に基づき、サンスクリット原典の成立に関する問題が指摘されたことから、この漢訳に関して、本格的な研究が遂行されることが期待されている。

プロジェクトの目的と成果

本プロジェクトは、上記の研究状況を踏まえ、サンスクリット語、チベット語、漢語の三つの知識に基づき、サンスクリット原語を想定しつつ、漢訳とチベット語訳を詳細に比較対照することによって、どのような相違点が両訳に存在するのかを具体的に明らかにする。そして、その相違が如何なる状況から生じたのか、即ち、サンスクリット原典に於ける相違に基づくのか、或いは両訳の翻訳スタイルの相違に基づくのか、或いは写本の欠損に基づくのかなど、様々な可能性を想定し、その原因を明らかにすることにより、サンスクリット原本の成立過程を明らかにすることを目的とする。

上述の目的のために、まず、既に Krasser 博士によって問題が指摘された付論部分11箇所を取り上げ、当該箇所の両訳を比較対照し、それに基づき相違の原因を探る。同時に、今後の研究の便を図るために、両訳の相違点と一致点を容易に対照できる校定テキストの作成を行う。加えて、欧米の研究者をはじめとする、非漢字文化圏の研究者の研究に寄与できるように漢訳『般若灯論釈』の英訳を試みる。PPr は膨大なテキスト故に、当面、付論部分、そしてその付論が含まれている章から取りかかり、最終的にはテキスト全体の対照テキストと翻訳の作成を目指す。

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オーストリア科学アカデミー
アジア文化・思想史研究所
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